The Return Of Civil High-Speed Flight | 超音速旅客機、復活の兆し

August 26, 2021

JAXA：航空新分野創造プログラム（Sky Frontier）

Credit: JAXA




2005年、JAXAはNEXST-1プログラムの下で、低燃費超音速機の縮小版実証機の飛行試験を行なった。オーストラリアのウーメラで実施されたこの試験では、コンコルドと比較して超音速巡航時の空気抵抗が13％少ないことが確認された。それから10年後の2015年、今度はD-SEND計画の下で、ソニックブームを低減した超音速旅客機の縮小版実証機の飛行試験をスウェーデンのエスランゲ宇宙センターで実施した。JAXAは引き続き、ソニックブーム低減設計で、より頑丈で幅広い運航に対応できる機体の飛行試験を計画している。

Boom Supersonic社

Credit: Boom Supersonic




Boom社の「Overture」は最高速度マッハ1.7、座席数65〜88席の超音速機で、2029年には商業運航が始まる可能性を持っている。2020年10月に公開された縮小版の超音速実証機XB-1から得られた経験を活かし、2022年にはOvertureの開発に着手する予定だ。同年末には製造・開発拠点を発表し、こちらは2023年に着工予定としている。2025年にプロトタイプがロールアウトし次第、量産機の製造に着手し、2026年には飛行試験を進め、2029年に就航させる計画だ。一方、Overtureの3分の1スケールの実証機であるXB-1の飛行試験は、カリフォルニア州モハべで2022年初頭には開始される見込みだ。2021年、ユナイテッド航空が15機のOvertureを確定発注、さらに35機をオプション発注したことで、このプログラムは大きく前進した。

Hermeus社

Credit: Hermeus




超音速機開発スタートアップ企業のHermeus社はアメリカ空軍と連携し、同社のマッハ5を発揮するコンセプト機を大統領専用機を含む要人輸送機に改良する方法を研究している。コンバインドサイクルエンジンを搭載するこのコンセプト機は、最大20名を乗せて大西洋横断を横断できるように設計されており、10年後の就航を目指している。なお、同社はNASAとも連携しており、2024年までに縮小版の単発実証機を3機開発・試験する契約を、2021年8月に空軍から6,000万ドルで受注した。

NASA：X-59 QueSST（低騒音超音速技術研究機）

Credit: Lockheed Martin




2016年、NASAは最新の低騒音SST実証機の設計に関する契約を締結した。NASAのNew Aviation Horizons計画に含まれる最初の「Xプレーン」として、Lockheed Martin Aeronautic社が低騒音超音速技術（Quiet Supersonic Technology：QueSST）を統括することになった。ソニックブーム低減実証機であるX-59 QueSSTは2021年末に納入され、2022年から飛行試験に入る予定だ。

Spike Aerospace社：S-512

Credit: Spike Aerospace




Spike社のS-512には、マーケットで成功するために不可欠と同社が考える2つの要素が盛り込まれている。それは18人乗りの座席数と、ソニックブームの低減だ。同社は巡航速度マッハ1.6における衝撃波の音量を75PLdB以下（陸地上空における騒音の受忍限度としてNASAが設定している目標値）に抑えることを目指している。同機の就航目標は2028年で、陸地上空の超音速飛行が避けられないアジアを中心に、大陸横断路線への投入を目指している。

Lingkong Tianxing社

Credit: Space Transportation




中国のスタートアップ企業・Lingkong Tianxing社は、観光用の準軌道飛行宇宙船から大陸横断旅客機まで、一連の極超音速機を開発する計画を発表した。2019年以降に開発・試験された技術を元に、2023年に準軌道飛行宇宙船の飛行試験を開始することを当初の目標としている。先日、中国の投資家から3億元の資金調達を発表した同社は、2025年には準軌道飛行宇宙船の有人試験飛行の実施を目指している。より大型の極超音速旅客機の初飛行は2028年、最も大型のタイプの初飛行は2030年に行う計画だ。

Exosonic社



アメリカのスタートアップ企業・Exosonic社は、世界初のソニックブーム低減・航続距離5,000nm・低騒音超音速旅客機の開発を目指しており、ワシントン大学にあるキルステン風洞試験場で70人乗りコンセプト機の模型による低速風洞試験を完了した。この試験では全長8フィートの模型が用いられ、最大150マイルでの試験により離着陸性能を評価し、今後の民間・軍用双方への活用に向けた研究への道を切り開いた。

Virgin Galactic社

Credit: Virgin Galactic




準軌道飛行による宇宙旅行を提供するVirgin Galactic社は2020年、19人乗りで高度60,000フィート以上をマッハ3で巡航する、双発のデルタ翼機を開発する長期計画を発表した。詳細はほとんど明らかにされていないが、NASAもプロジェクトに関与しており、同社および子会社のThe Spaceship Company社はSpace Act Agreementに基づき、高マッハ対応機の開発に向けて協力を得ている。この中には、マッハ3〜5の環境下における機体の熱管理や推進装置に関するNASAとの共同研究などが含まれている。

2003年にコンコルドが退役し、超音速旅客機の運航が終了したにもかかわらず、最近までビジネス機の需要とその高速化を望む声が超音速旅客機の復活につながるというコンセンサスがあった。しかし、長く研究されてきた超音速ビジネスジェット「Aerion」が2021年に予想外の失敗に見舞われ、航空会社も高速輸送に対する関心を高めていることから、これまでの見方は変わり始めている。ここでは、現在進行中のプログラムのいくつかを紹介していこう。

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Despite supersonic passenger flights ceasing with the retirement of Concorde in 2003, industry consensus has until recently been that business aviation and its demand for higher speed will lead a civil supersonic transport revival. However, with the unexpected failure of the long-running Aerion supersonic business jet project in 2021 and airline interest growing in high-speed transports, this view has begun to change. Here’s a look at some of the on-going programs.