In Pictures: Rolls-Royce UltraFan Building Blocks | 写真で見る、ロールスロイスUltraFanの製造状況
June 02, 2021
定格推力87,000ポンド、ファン直径140インチとなるこのエンジンは、史上最大の航空機用エンジンとなる。このエンジンの採用を決定した機体はまだないが、同社によれば2022年に稼働予定のこの実証機は、推力25,000〜100,000ポンドをカバーする一連の低燃費エンジン開発の道を切り開くものだ。
この新エンジンの心臓部にあるパワーギアボックス(PGB)は、ファンの回転数を下げながらも中間タービンをより高速で効率の良い回転数に保つことができる。2020年12月にドイツで行われた実験では、リグに設置された実証機と同じ構成のPGBで最大離陸推力を発揮させたところ、99%以上の熱効率レベルで50メガワット以上の電力を変換させた。DP208と名付けられたこのユニットは、同社の実験用リグがあるダーレヴィッツ工場に輸送される途中で撮影された。なお、最初のUltraFan実証機に使用されるユニットは現在組み立て中で、ロールスロイス社の伝統あるエンジン・RB211にちなんでDP211と名付けられている。
完全新設計となるUltraFanのコア部分には、低排出ガスのALECSys(Advanced Low-Emissions Combustion System:発展型低排出ガス燃焼システム)リーンバーン燃焼装置が組み込まれており、これはトレント1000エンジンを母機として試験が進められてきた。最近では、アメリカを拠点とするWorld Energy社が開発した再生可能代替燃料(SAF)を用いた試験も行われている。カリフォルニアで精製されたSAFを用いた試験では、従来型のジェット燃料と比較して二酸化炭素のライフサイクル排出量を75%削減することを目標としており、将来的にはさらなる削減の可能性もある。ロールスロイス社によると、UltraFanは特別な調整なしに100%SAFでの運用が認証されているという。
15:1という高バイパス比を持つ大型ファンの抵抗による影響を軽減するため、ファンケースには軽量の複合材が用いられている。初期実証機・UF001向けとなる最初のケースは同社のイギリスにあるブリストル工場で完成に近づいており、アクセサリーパーツの取り付けや最終加工が行われている。
4基のUltraFan実証機それぞれには18枚のブレードが使用され、これに用いられる複数の複合チタン製ブレードが製造中だ。各ブレードはHexcel社のHexPly M91炭素繊維強化エポキシリプレグを500枚積層したもので、オートクレーブで硬化される前に自動積層される。精密加工とコーティングが施された後、前縁部にチタン製の保護シースが接着され、腐食やFOD、バードストライクなどからブレードを保護する。
イギリスのダービーにあるロールスロイス社の「DemoWorks」拠点にUF001の部品が到着し始めたことで、同社はデジタル作業手順書を用いた新たな組み立て方法の評価を行なっている。エンジニアやメカニックたちは、主な金型やプラスチック製のレプリカ部品を用いて組み立ての練習をしている(写真は主要なコアモジュール)。写真にある、カラフルな巨大アイスキャンディーのようなコアには、上部にパワーギアボックスのマウント、下部に高速中間タービンシステムモジュールが配置されている。
UltraFan実証機の試験は、ダービーに新たに完成した第80テストベッドで実施される。このテストベッドは1月にトレントXWB-97エンジンを用いて完成したもので、高さ・幅が15mの壁で囲まれた7,500m2 の敷地を持つ。3,450トンの鉄と8,227m3 のコンクリートを使用して建設されたこの建物には、北側に29mの吸気塔、南側に37.5mの排気塔がある。この分厚い壁は、試験中のエンジン内部を毎秒30コマで撮影するための巨大なX線装置による影響から周辺部を守るために必要なものだ。
ロールスロイス社が全く新しい形式の民間機向けギア駆動式エンジンの開発計画を発表してから約7年、同社はそのUltraFanエンジン実証機の主要部分の組み立てを始めている。
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Photos are from Rolls Royce.