Four Platforms That Are Shaping Asian Defense | アジアの国防環境を形づくる4種の新型機
June 14, 2021
Credit: Chen Chuanren/AW&ST
アジア各国の国防予算が増加傾向にある中でも、各国政府は「より多くをより安く」を追求しており、国内防衛産業基盤が持つ独自性の活用、既製品による代用、新技術の共同開発などを駆使して、最大限に防衛力を整備することを目指している。ここでは、そのような開発プログラムの一部を紹介する。

国内産業基盤の活用:T-50(韓国)
Korea Aerospace Industries
T-50

将来に向けた投資:ボーイングATS
Credit: Boeing
アジア太平洋地域の広さと、高度化していく防空システムの下で安全保障を確実なものにするためには、膨大な規模の有人機を配備する必要がある。この課題に対処するべく、オーストラリアはボーイング社と共同で「Airpower Teaming System」自律型無人機を開発する。これは同国が保有するボーイングF/A-18Fスーパーホーネットやロッキード・マーチンF-35Aのフォース・マルチプライヤーとして機能するだけでなく、最終的にはその一部を代替することも検討されている。
「Loyal Wingman」プログラムとして知られているこの計画が実現すれば、ようやく有人機と自律型無人機が協調して様々なミッションを遂行できる日が訪れる。

低リスクかつ革新的なアプローチ:新型空中給油機(シンガポール)
Credit: Ministry of Defense, Singapore
自動空中給油(Autonomous Air-to-Air Refueling:A3R)を筆頭に、コンピューター化されたトラブル対処といった数々の新技術を搭載するSMART MRTT(A330多用途空中給油輸送機)プロジェクトにおいて、シンガポールは自国の空中給油機の経験と研究開発能力を活かすことで、最初にして唯一の共同開発パートナーとなった。これにより、シンガポール空軍はまだ他国が持たない高度な空中給油技術の情報を得るに至った。MRTTが持つ空中給油機同士の給油能力を用いることで、空軍の戦闘機部隊を1回の飛行で世界中どこへでも、どこからでも展開が可能になるとしており、これをシンガポール空軍では「戦略実現装置 (strategic enabler)」と呼んでいる。
コロナ禍の中でも、このプログラムは納入から3年も経たない2021年4月に完全作戦能力を獲得した。自動給油能力についても、年内には認証を取得する予定だ。

飛躍的な進歩:J-10(中国)
Credit: Piotr Butowski
中国人民解放空軍のJ-10は、西側のF-16に対抗するために構想された単発マルチロール戦闘機だ。2008年に初公開されてから10年で、将来の航空戦に備えたアップグレードが数回にわたり施された。最新型のJ-10Cでは国産の新型AESAレーダーや、気流の改善とレーダー断面積低減を実現するダイバータレス超音速インレットなどが装備されている。